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リゲッタ誕生秘話 第14回

Re:getA誕生秘話

リゲッタ誕生秘話 第14回

「自分が何をやっても無駄だとわかってきました。」

そんな地道な活動を繰り返すことで、なんとかミニッシュも軌道に乗りかけたかに見えましたが、
2004年頃から、いくら新作を作っても大手のメーカーさんにコピーされるようになりました。
完全に目を付けられるようになりました。
製造力のないミニッシュがいくら新作を作っても、大手が同じデザインを中国で作る。
そうするとミニッシュの考えたデザインではなく、大手のメーカーのデザインになってしまうんです。

展示会ブースには仕入れする問屋さんよりも、デザインを盗みに来るメーカーさんの方が 多い時もありました。

展示会でミニッシュに問屋さんからサンプルの依頼が入る。
→ ミニッシュから苦労して作ったサンプルを問屋さんに送る
→ 問屋さんが届いたサンプルを仲のいい他のメーカーに送る
→ 他のメーカーが僕のデザインを分解して作り直し発売する
→ 市場に流通するのはミニッシュより他のメーカーの方が早かったりする

僕の感じる靴業界の限界でした。
いくらやってもコピーされる。
この業界はもうだめだ・・・。
遅めにメーカーを始めたことが幸いして客観的に靴業界を見ることが出来たんでしょうね。
見かねてコピーを訴えてもお金がたくさんかかるうえ、
同業者からつまはじきを受ける・・・。

メーカーを始めたことで、自分が何をやっても無駄だとわかってきました。


Re:getA誕生秘話イラスト:高本 泰朗

【夢は「飯が喰えるようになること」】

靴業界に入ってからは何冊も自分の未来のために、
今考える思いのたけをノートが真っ黒になるまで書き込んできました。
将来したいことは何か?
自分はどんな人物になりたいのか?
自分に足りないものは何か?
どんな会社を作りたいのか?
どんな靴を作りたいのか?
ずっと未来のビジョンを何冊もの大学ノートに描いてきました。

大学ノートに書き連ねることで自分のこと、
自分の会社を客観的に見れるように努力しました。
少し時間がたってからノートを見ると冷静に自分の正しさ、青臭さ、間違い等がわかるから 大事にしていました。
時間があればいろんな仕事術に役立つ本や自己啓発の本、経営指南書などを読みあさったものです。

すべてを同時進行しないといけない時代でした。

・自分がたくましくなる
・もっと売り上げを作る
・きちんと利益をだす
・もっと経営を覚える
・デザインセンスを磨く
・人の使い方を覚える

etc・・・。
他にもやることはまだまだいっぱいあります。

ある程度、靴業界の厳しさがわかってからは、
誰かに負けたくない・・・ とか
自分のため・・・ とか
そんな意識はもうなかったですね。

夢は 「 世界に輝くシューズデザイナーになること 」 とかではなく、
「 飯が喰えるようになること 」 でした・・・。
だって飯が食べられないんですから。。。

いろんなことをたった一人で同時進行で覚えていかなければいけない。
とにかく時間がない、時間がないって思っていました。

悪魔に魂を売った ・・・ 
30歳までに成功したら僕の体はどうなってもいい 
って考えが、どこかにこびりついていたんでしょうね。
自分で決めたルールだから余計に厳しいです。
当時は靴業界全体に毎日毎日、暗い事件が起きていて、
末期なイメージがずっとありました。
この頃の記憶のイメージは暗いオレンジ色・・・夕方です。
「 もうすぐ日が暮れる 」 僕にはもう時間がない・・・
ってイメージをずっと持っていたのだと思います。

<つづく>

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第15回は2016年3月18日(金)公開!乞うご期待!
職人 Re:getAデザイナー 高本 泰朗 靴職人 Re:getAデザイナーシューズミニッシュ代表取締役 高本 泰朗

生まれも育ちも大阪の生野区という下町で過ごしてきたデザイナーの高本氏。
靴の専門学校、シューズメーカー数社での企画・デザインの経験を経て、当時靴の下請けであった実家「タカモトゴム工業所」で靴作りに励む。
2001年、後に「リゲッタ」「リゲッタカヌー」などのブランドを手掛ける「シューズミニッシュ」として、靴メーカーを始める。